- しき
- I
しき(副助)〔名詞「しき(式)」から〕(1)指示代名詞「これ」「それ」「あれ」などに付いて, 物事の動作・状態などを取るに足らない程度とみなして軽視する気持ちを表す。 くらい。 ほど。
「これ~のことには驚かない」「それ~の傷で泣くな」
(2)人代名詞に付いて, …みたいなもの, …のようなものなどの意を表す。II「我等~にはもつたいないと/洒落本・無頼通説法」「おのれ~ぶち放すも刀の穢れ/浄瑠璃・新版歌祭文」
しき【史記】中国最初の紀伝体の通史。 二十四史の一。 一三〇巻。 前漢の司馬遷著。 紀元前91年頃完成。 上古の黄帝から前漢の武帝までの歴史を記す。 本紀一二巻, 表一〇巻, 書八巻, 世家(セイカ)三〇巻, 列伝七〇巻から成る。 後世, 正史の模範とされた。 注釈書に南朝の宋の裴駰(ハイイン)の「史記集解(シツカイ)」, 唐の司馬貞の「史記索隠」, 唐の張守節の「史記正義」などがある。 太史公書。IIIしき【四器】形を正しく定めるのに必要な四つの道具。 規(ブンマワシ)・差し金・準(ミズモリ)・縄(スミナワ)の総称。IVしき【四気】天地間に消長する, 四季の気。 すなわち春の温, 夏の熱, 秋の涼, 冬の寒。Vしき【城・磯城】城(シロ)。 砦(トリデ)。VI「~を得爾辛(トクジシ)に助け築かしむ/日本書紀(欽明訓)」
しき【士気】戦いに臨む, 兵士の意気込み。 また, 集団で事に臨む人々の意気込み・熱意。VII「~を鼓舞する」
しき【始期】(1)物事のはじまる時期。(2)法律行為の効力が発生し, あるいは債務の履行を請求できるようになる期限。⇔ 終期VIIIしき【子規】⇒ 正岡子規IXしき【子規】ホトトギスの異名。Xしき【市気】人々の歓心を得ようとおもねる気持ち。XI「理想のない技巧家を称して, 所謂~匠気のある芸術家と云ふのだらうと/文芸の哲学的基礎(漱石)」
しき【式】(1)一定の作法にのっとって行う行事。 儀式。「祝賀の~」
(2)特に結婚式。「~を挙げる」「~の日取り」
(3)ある物事をするときの一定のやり方。「そういう~でやってみよう」
(4)数学・論理学などの諸科学で, 記号を用いてある関係や構造を表したもの。「~を立てる」
(5)律令の適用の仕方を定めた細則。 また, それらを編纂(ヘンサン)した書。 「弘仁式」「延喜式」など。(6)ことのわけ。 ことの次第。 事情。「此程の~をば身に替ても申し宥(ナダム)べく候/太平記 10」
(7)名詞の下に付いて, 一定の方式・形式・やり方である意を表す。XII「日本~」「電動~」
しき【志木】埼玉県中南部の市。 近世, 奥州から甲州・相州への脇街道の宿場町。 現代は住宅地として発展。XIIIしき【志気】物事をしようとする気持ち。 こころざし。 士気。XIV「盛んな~」
しき【指揮・指麾】〔「揮」は指図の旗の意〕(1)多くの人々を指図して, 統一ある動きをさせること。 下知。「~を取る」「彼等の行動を~し, 彼等の生命を掌握する/肉弾(忠温)」
(2)合奏・合唱などの音楽演奏を, 身振りや指揮棒によって統率すること。XV「楽団を~する」
しき【敷】(1)敷くこと。 また, 敷くもの。 多く他の語と複合して用いる。「鍋~」「板~(イタジキ)」「その筥の~に/栄花(本の雫)」
(2)和船で, 船底の縦通材。 かわら。(3)「敷き布団(ブトン)」の略。XVI「~の厚いのは困る/黴(秋声)」
しき【死期】(1)死ぬ時。 命の終わる時。 しご。「~が迫る」
(2)命を投げ出すべき時。 しご。XVII「~を得る」
しき【磯城】奈良盆地中央部の郡名。 古代の政治・文化の中心地の一。→ 敷島XVIIIしき【私記】個人の記したもの。 私的な記録。XIXしき【紙器】紙を成型・加工した容器類。 段ボール箱, 飲料品の容器, 紙コップ・紙皿など。 カルトン。XXしき【紫気】(霞などのために)紫色を帯びた大気。XXI「相模灘上の~いよいよ勢猛く/自然と人生(蘆花)」
しき【職】(1)律令制で, 省に属し, 寮・司の上に位する役所。 中宮職・大膳職・京職など。(2)「職の曹司(ゾウシ)」の略。「~へなむ参る/枕草子 83」
(3)荘園制において, 職務に付随した権益または土地の用益権などをいう。 私財化して譲与の対象となった。 領家職・守護職・地頭職・名主職など。XXIIしき【至貴】この上なく尊いこと。XXIIIしき【色】〔梵 rūpa〕〔仏〕(1)五蘊(ゴウン)・五位の一。 物質的な存在。⇔ 心(2)目で見ることのできるもの, すなわち色(イロ)と形。XXIVしき【識】(1)知り合いであること。「一面の~もない」「半面の~が有るが/浮雲(四迷)」
(2)〔仏〕〔梵 vijñāna〕対象を認識する心の働き。 六識・八識などが立てられ, 仏教の認識論・存在論の基本概念である。(3)〔「しるす」の意〕序文などの署名の下に用いる語。XXV「著者~」
しき【鋪】鉱山の坑道。 鉱坑。XXVIしき【頻】〔動詞「頻く」の連用形から〕動詞の連用形または名詞の上に付いて, 「度重なること」「しきりに」の意を表す。「~浪」「~降る」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.